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呉服屋さん選びについて ~長く愛される呉服屋さん~

消費者からも生産者からも愛される呉服店は、

店主さんがこだわりの商品を自分で仕入れています。

自分のお客さんにぜひこれを着てもらい、

素敵に表現していただきたいという信念がある呉服店は

深い信頼関係を築いた工房や作家さんに直接掛け合って、

委託販売の展示会をプロデュースしています。

そして、商品の仕入れは「買い入れ」を主軸とされます。

「買い入れ」による仕入れをする呉服屋さんは

消費者にとっても生産者にとっても

良心的なお店であると言えます。

商品を買い入れて仕入れるということは

どの商売においても通常のことと思われますが、

呉服業界には「浮き貸し」という特殊な仕入れ方があります。

「浮き貸し」というのは

メーカー(工房)が商品を問屋に貸して、

その商品をさらにを呉服店に貸し出すという仕入れです。

云わば、問屋を仲介した委託販売です。

「浮き貸し」は呉服店で売れた商品だけが問屋の売上となり、

問屋はその分だけの卸値をメーカーに支払います。

問屋、呉服店は共に売れ残った商品の中から

気に入った商品を買い入れて仕入れすることはなく、

また違う呉服店に貸し出されます。

当然、呉服店は商品の選別も問屋任せになりがちです。

どこかで見た商品を他の呉服店でも見たことがある。

という話はこういうケースかもしれません。

「浮き貸し」は問屋と呉服店にとっては

在庫リスクを回避できる好ましい取引方法と言えますが、

メーカーにとっては在庫負担が大きくなるため、

卸値も「買い取りの卸値」より高くなります。

卸値が高くなるということは呉服店での販売価格も高くなり、

最終的には消費者の負担となってしまいます。

「浮き貸し」の影響は価格の問題だけではありません。

商品が複数の呉服店を巡るため、

特に染帯などの地色や生地がデリケートな商品は

その間に汚れてしまったりすることもあります。

この際、付いてしまった汚れはメーカーの責任として

地直しするのが慣例であるため、

さらにメーカーの負担は大きくなってしまいます。

呉服店で手の込んだ染帯の取り扱いが少なくなっているのは

このような背景が影響しているのも理由の一つです。

「浮き貸し」での取引を多く抱える工房や職人さんは

できるだけ自分の負担を減らすため、

生産コストを下げざるを得なくなります。

一つの図案で効率よく商品を作るため、

量産的な商品が生産されるようになります。

また、一つの商品に掛ける手間も少なくせざるを得ません。

一方、手の込んだ作品を制作したい工房や作家さんは

「浮き貸し」の取引に依存せず、

直接、消費者との関係を大切にした活動を行うようになるため、

手の込んだ着物はさらに問屋市場に出回りにくくなります。

結果的には、工房や作家さんに直接会いに行くことで

本当の審美眼を養いたいと考える行動的な

消費者の方も増えているように思います。

また、それが着物を着て出掛ける機会として

一役買っているようでもあります。

話は最初に戻りますが、

冒頭でお話したようなこだわりを持った呉服屋さんは

それまでに大変な努力をされています。

経験豊富な知識と審美眼をお持ちです。

もし、このような呉服店さんに出会えることができたなら

どうかそのご縁を大切にしていただきたいと思います。

生産者、販売者、消費者が三位一体となり、

伝統的な着物と新しい着物が共存できる

素晴らしい未来となることを心よりお祈りいたします。