「付け下げ」は柄の付け方の呼称です。
「付け下げ」=「付け下げ小紋」
「付け下げ」=「付け下げ訪問着」
どちらも「付け下げ」として表現されることがあるため、
判りにくい時があると思います。
付け下げの見分け方としてよく耳にするのは、
店頭で着物の形に仮仕立てしてあるのが訪問着で、
反物で置いてあるのが付け下げという話です。
もちろん、これも見分け方の一つではありますが、
柄の付け方で見分けられることが理想的です。
着物には「合口(あいくち)」と「絵羽」という言葉があります。
この言葉を知っているだけで付け下げの見分け方はもとより、
着物の格についても解りやすくなります。
「合口」は縫い目にかかって柄が続いている部分のことです。
合口が多ければ多いほど裾全体を
一枚の絵画として繋げて描くことができ、
柄も大きく描くことができるので贅沢な絵羽柄の着物となります。
絵羽柄は合口のぬいしろ部分まで柄を描く必要があります。
また、柄がズレないように細心の注意を払う必要があるため、
とても手間が掛かります。
絵羽柄である正式な訪問着や留袖、
振袖は格の高い着物になります。
それでは合口や絵羽の違いに注意しながら、
「小紋」「付け下げ小紋」「付け下げ訪問着」「訪問着」を
比べてみましょう。
柄の向きがあらゆる方向を向いた飛び柄です。
パターン柄として配しています。合口はありません。
一見、小紋よりも柄が少なく見えますが、
着用時に見栄えが良い位置に柄が配置されており、
全体の流れが考慮されています。
合口はありませんが、よりお洒落な印象の小紋となります。
柄を訪問着と同じように配置した付け下げです。
着用時に見栄えが良い効果的な柄の向きと
全体の流れを考慮した飛び柄になっています。
合口に掛かる柄の無い、軽めの付け下げ訪問着です。
柄が大きいため着用時には訪問着に近い印象となります。
柄を訪問着と同じように配した付け下げです。
着用時に見栄えが良い効果的な柄の向きと
全体の流れを考慮した飛び柄になっています。
裾柄の上衽と上前の合口に掛かって柄が描かれています。
ほぼ訪問着と同格に扱われます。
裾全体の合口につながって絵羽柄が配されています。
一枚の絵画として成立する構図で正式な訪問着になります。
「小紋」と「付け下げ小紋」はお洒落着として着用します。
どちらも主に名古屋帯を締めますが、
手描き友禅の小紋など見栄えが良いものは
袋帯を締めて格上げすることもできます。
付け下げ訪問着と正式な訪問着のTPOに
大きな違いはありません。
どちらも袋帯を締めて友人知人の結婚式披露宴や
パーティーに出席することが出来ますし、
縫い紋(一つ紋)を入れれば、
留袖の次に格のある準礼装としても通用します。
軽いパーティーであれば、「付け下げ訪問着」に
金箔や刺繍で仕上げた豪華な染名古屋帯もおすすめです。
より華やかな装いが好まれるパーティーには
「正式な訪問着」に袋帯がおすすめです。
腰原きもの工房にて制作した様々な作風の
「小紋」「付け下げ」「訪問着」を
⇒ 作品集からご覧いただけます。
ぜひご参考ください。