手描き友禅 腰原きもの工房

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付け下げと訪問着の違いについて

「付け下げ」は柄の付け方の呼称です。

「付け下げ」=「付け下げ小紋」

「付け下げ」=「付け下げ訪問着」

どちらも「付け下げ」として表現されることがあるため、

判りにくい時があると思います。

付け下げの見分け方としてよく耳にするのは、

店頭で着物の形に仮仕立てしてあるのが訪問着で、

反物で置いてあるのが付け下げという話です。

もちろん、これも見分け方の一つではありますが、

柄の付け方で見分けられることが理想的です。

着物には「合口(あいくち)」と「絵羽」という言葉があります。

この言葉を知っているだけで付け下げの見分け方はもとより、

着物の格についても解りやすくなります。

「合口」は縫い目にかかって柄が続いている部分のことです。

合口が多ければ多いほど裾全体を

一枚の絵画として繋げて描くことができ、

柄も大きく描くことができるので贅沢な絵羽柄の着物となります。

絵羽柄は合口のぬいしろ部分まで柄を描く必要があります。

また、柄がズレないように細心の注意を払う必要があるため、

とても手間が掛かります。

絵羽柄である正式な訪問着や留袖、

振袖は格の高い着物になります。

それでは合口や絵羽の違いに注意しながら、

「小紋」「付け下げ小紋」「付け下げ訪問着」「訪問着」を

比べてみましょう。

①小紋

柄の向きがあらゆる方向を向いた飛び柄です。

パターン柄として配しています。合口はありません。

手描き友禅 小紋

②付け下げ小紋

一見、小紋よりも柄が少なく見えますが、

着用時に見栄えが良い位置に柄が配置されており、

全体の流れが考慮されています。

合口はありませんが、よりお洒落な印象の小紋となります。

手描き友禅 付け下げ小紋

③「付け下げ訪問着」※合口無し

柄を訪問着と同じように配置した付け下げです。

着用時に見栄えが良い効果的な柄の向きと

全体の流れを考慮した飛び柄になっています。

合口に掛かる柄の無い、軽めの付け下げ訪問着です。

柄が大きいため着用時には訪問着に近い印象となります。

手描き友禅 付け下げ小紋

④「付け下げ訪問着」※一部合口有り

柄を訪問着と同じように配した付け下げです。

着用時に見栄えが良い効果的な柄の向きと

全体の流れを考慮した飛び柄になっています。

裾柄の上衽と上前の合口に掛かって柄が描かれています。

ほぼ訪問着と同格に扱われます。

手描き友禅 付け下げ訪問着

⑤「訪問着」

裾全体の合口につながって絵羽柄が配されています。

一枚の絵画として成立する構図で正式な訪問着になります。

手描き友禅 付け下げ訪問着

「小紋」と「付け下げ小紋」のTPO

「小紋」と「付け下げ小紋」はお洒落着として着用します。

どちらも主に名古屋帯を締めますが、

手描き友禅の小紋など見栄えが良いものは

袋帯を締めて格上げすることもできます。

「付け下げ訪問着」と「訪問着」のTPO

付け下げ訪問着と正式な訪問着のTPOに

大きな違いはありません。

どちらも袋帯を締めて友人知人の結婚式披露宴や

パーティーに出席することが出来ますし、

縫い紋(一つ紋)を入れれば、

留袖の次に格のある準礼装としても通用します。

軽いパーティーであれば、「付け下げ訪問着」に

金箔や刺繍で仕上げた豪華な染名古屋帯もおすすめです。

より華やかな装いが好まれるパーティーには

「正式な訪問着」に袋帯がおすすめです。

腰原きもの工房にて制作した様々な作風の

「小紋」「付け下げ」「訪問着」を

作品集からご覧いただけます。

ぜひご参考ください。